ナッツ北原の絶叫黙示録

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パタポン2 ~ナッツ北原のゲーム列伝~

 小学生のころは誰でもニンテンドーDSをもっていた。中学生になると少年たちはPSPをもっていた。モンスターハンター3rd やメタルギアソリッドピースウォーカーが身内で流行っていた中、人知れず私がやりこんでいたゲームがこのパタポン2だ。

初代が2007年にソニーからリリースされて、翌年に2がリリースされた。2011年に3がリリースされて以降は続編が出ていない。しかし、2017年にps4への移植版が発売、その後に2も移植された。

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シリーズ3部作の2作目だ。

 プレイヤーは神様として、パタポンと呼ばれる生き物に命令を下して彼らを世界の果てへと導く。▢○✕△の4つのボタンに対応した太鼓があり、それを一定のリズムに合わせて4拍打つだけ。行進は▢(パタ)3回、○(ポン)1回。攻撃は○○▢○(ポンポンパタポン)あとから△(チャカ)と✕(ドン)の太鼓も加わり、▢○✕△(パタポンドンチャカ)のコマンドは状態異常回復になったりと、非常に簡単なルールだ。スマートフォン向けに移植することも容易にできそうだ。基本はパタポン軍の編成を組んで敵と戦っていくというゲームシステムで、この編成の幅広さが戦略を考える楽しさにつながっている。パタポリスと呼ばれる拠点でミニゲームを楽しむこともできる。

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大型のボスキャラクターとの戦闘が楽しい。

 私はパタポンシリーズは一通りプレイしたが、今作が一番気に入っている理由がクリア後のやりこみ要素だった。前作のパタポンは単純な難易度の高さとヘルムの消失(ボスキャラクターに捕食されると育成したパタポン軍のユニットが失われてしまう)という仕様が原因で、クリア後にやりこもうとする意欲がわかなかったが、今作はヘルムの消失はなくなり、加えてパタポン軍にヒーローと呼ばれる特殊能力をもった強力なユニットが登場しボスキャラクターを蹂躙しやすくなった。逆に、3ではヒーローを中心に展開したゲームになりそれだけならまだしもある1つのヒーローのクラスが強すぎたため、ゲームバランスが崩壊していたため、あまり好きになれなかった。やっぱり2の塩梅が自分には一番あっていたということだ。

 このゲームの一番の楽しみはクリア後の素材集めだ。最強クラスのユニット育成には大量のお金と素材が必要になる。しかし、それはただの作業にはならなかった。素材回収はボスキャラクターの討伐クエストをなんども回すことになるが、極限まで強化した自分のパタポン軍にボスキャラクターはなすすべなく撃沈していく。私のパタポン軍の最強編成は、やりポン、ゆみポン、まほポン、そしてろぼポンのヒーローだ。

やりポンは槍をもった6体のユニット、ゆみポンは弓の3連射が魅力的な6体のユニット、まほポンは魔法の杖で攻撃する3体のユニット、そしてろぼポンは、2本の鉄の腕を装着した接近戦用のユニット。ヒーローパワーは両腕を振り回すだだっコンボで、その強大なダメージ量にほとんどの敵はあっけなく死んでいく。降り注ぐ矢と弓の雨、火の玉や氷の弾丸が加わり、ボスの足元には重量級の歯車が唸り声をあげる。ダメージ表示で敵の姿はほとんど見えない。数字はあまり得意ではないが、パタポン2において相手の苦痛が可視化されて現れる数字を見るのは大好きだ。しかし、これではいけないのだ。パタポンの重要な仕様、それは敵が攻撃を受けてひるんだ時に素材を落とすということだ。だったら素材をたくさん集めるにはどうすればいいのか。何度もプレイしてたどり着いた結論は、素材を落としてくれるように死ぬまでたっぷりいたぶることだ。

こうして私は、ボスキャラクターそれぞれに合わせた拷問を計画し、パタポン軍の強さを調節する段階へとシフトしていったのだ。ボスキャラクターごとに弱点があるため、それに合わせてユニットの種類を変える。そして、いたぶり続ける。またすぐに死んでしまった。武器の強さももう1ランク落とそう。今度は弱すぎた。他のユニットに変えよう。落とした素材は画面右上に表示されるが、これが表示しきれなくなるまで徹底的にやった。

 これほど人間の嗜虐性を呼び覚ますゲームは他にはないだろう。パタポン2は、一見ポップな見た目とは裏腹に、こうしたサディスティックな楽しみ方を潜在していたのだ。今ps4を持っている人はどうか、移植版でこの猟奇的なゲームを体験してみてほしい。