MASSIVE ACTION GAME ~ナッツ北原のゲーム列伝~
FPSというゲームジャンルがある。ファースト・パーソン・シューティングの略称である。任天堂のゲームばかりプレイしていた小学生の自分はこのジャンルのゲームに出会い、のめり込んでいった。
それはオンラインゲームとの出会いでもあった。家に無線LANのルーターが導入されてから、私の兄貴はPS3を購入後有名なFPSゲームを遊ぶようになった。それはBF(バトルフィールド)シリーズやCOD(コールオブデューティー)シリーズのゲームだった。具体的なタイトルを挙げると当時のPS3ソフトBFBC2やCODMW3などだ。
しかし、私の兄は自分が買ったゲームソフトを私に遊ばせることはなかったので、後に高校生になってPS3がお祓い箱になるまではそうしたFPSの人気タイトルは人が遊んでいるのを見るだけだった。その当時、何も遊べず見かねた兄が私に勧めてきたゲームがこれだ。
MASSIVE ACTION GAME(MAG) Zipper Interactive というSOCOMシリーズで有名な開発元によって2010年にリリースされた大規模オンラインFPSゲームである。4年ほどサービスが続いたのちに終了。その後この会社は閉鎖されてしまい、続編は出ていない。
今考えれば、このゲームは当時の他のFPSゲームと比べてあまりゲームの質はよくなかったかもしれない。グラフィックはPS2程度しかなかった上に、売りにしている256人対戦ができるのは1つのゲームモードに限られている。さらに、リスポーン地点は1か所か2か所に固定されていて一方的な試合展開になることもあったしスキルツリーはレベルが上がるごとに1つ解放されるというRPGみたいな仕様だった。しかも、この手のゲームには珍しいフレンドリーファイアがありだったため、味方を意味もなく殺そうとするプレイヤーもいた。印象に残っていたのはバンカーの爆破地点で起きた仲間割れである。このゲームには自分の戦場での成果によって実績を解除できるシステムがあり、バンカー(敵の拠点)に爆弾を仕掛けた人にも実績が与えられる。この実績欲しさに設置しているプレイヤーを殺す不届き者がいた。もちろん、それを見ていた別のプレイヤーから制裁が入ったが、そこにあったのは本物の人間の争いだったと思う。所詮はゲームかと思ってしまうが、そのゲームプレイの中でこのような人間の醜さが現れる瞬間は何度も見てきた。
それでもこのゲームは自分にとって刺激的で記憶に残っている。知らない年上の人とともにオンラインでゲームをする経験はある種の優越感があった。まるで、自分が1つ上の次元にいるかのような錯覚を覚えていたのだ。(子供だったから)2020年現在、オンラインFPSはバトルロワイアルのブームがまだ続いている。もちろんApex Legendsのようなゲームは面白い。CODとBFは健在だけれども、MAGのような安っぽくて大人数で参加できるタイプのゲームは見なくなった。今一度あの体験を反芻してみたいものだ。